「美濃鍛冶小論」

8−2  金属原料を産出した金生山


 金生山は、美濃鍛冶発生の地、濃尾平野西北部赤坂の北に突き出るようにそびえ、
その名の示す如く金属原料を多く産出し、中でも鉄原料の赤鉄鉱(ベンガラ)が
多く採掘された事で有名な山で、この山が美濃鍛冶と無関係であったとは考えられ
ません。

 この山は俗に赤坂山と呼ばれ、標高二一七メートルの小高い山で、今は金生山と
いわれ、石灰岩により構成されています。

 山頂には弘法大師開基といわれる「明星輪寺宝光院」があり、古くより当地の
人々の信仰の対象とされて来ました。

 当院住職の話によりますと、本尊「虚空蔵菩薩」を祭る土地は必ず金属に関係した
土地で、当地赤坂の地も古くより金属関係の産業が発展したとの事でした。

 また、当院には「美濃国池田郡井頭郷御嵩蔵王権現霊場………」なる銘文の
明徳四年(一三九三)鋳造の梵鐘が今も残り、銘文最後に「大工為継」なる文字が
はっきりと読み取れ、刀鍛冶「為継」との関係は、などと考えさせられて、南北朝
時代、当地に金工集団が住した事を立証しています。
 
現在では、石灰石の露天掘りが大規模に行われ、山の形が変わってしまい昔の面影を
残す部分は少なくなってしまっています。